伊達家十五代当主伊達邦宗氏が、十数年の歳月をかけ作成した『伊達家史叢談』八十年ぶりに復刻。

『伊達家史叢談』は、著者の伊達家十五代当主伊達邦宗氏(現十八代当主泰宗氏の曾祖父)が、大正十年秋に完稿するまで十数年の歳月をかけた全十六巻 に及ぶ大作で、復刻される機会がないまま今日に至っていました。このたび泰宗氏の協力を得、平成九年から三年越しの作業を経て、この程ようやく上梓の運び となりました。
首巻にある自序で「明治維新後五十年を経、時節柄由緒ある家の歴史が顧みられなくなっている昨今を憂い、伊達家においてもその事実関係が分からなくならな いうちにそれまで語り継がれた家の歴史を記録し、永久に子孫に伝えようと作成した」とあります。また、書名については「家の歴史とは親から子へ子から孫へ と語り継がれていく」のが本来の姿であるとする、著者の見識より名付けられたものです。
本書は、大正九年から同十一にかけて作成された孔版包背装全十六巻のうち、現在確認できる完本二巻のみを、八十年ぶりに復刻したもので、本書では貴重な伊達家の家系、歴代藩主の事蹟、仙台城築城の経緯・城内の概要および藩内行事など、詳細な記録を紹介しています。
『伊達家史叢談』は、仙台の歴史をひもとく一冊として、貴重な資料となることと存じます。

『伊達家史叢談』復刻によせて

本書は、伊達家十五代当主伊達邦宗が大正十年秋に脱稿するまで十数年の歳月をかけた全十六巻に及ぶ大作です。
現在、全十六巻が完全に揃っているのは、仙台市民図書館など伊達家から公共機関に納入されているものと聞いていますが、この度、邦宗の業績の集大成ともい える『伊達家史叢談』が、今野印刷より復刻されることは、喜ばしいことです。本書が多くの人々に読まれ、さらに新史料で補充されることを望む。それが、曾祖父の意志だと思います。

『伊達家史叢談』構成

■首 巻
歴世称呼訓,藤原四家ノ説明
■巻之一
諸説,家譜,祭祀,家紋,親族,宗族,一門,称呼
■巻之二
列祖ノ事蹟,塵芥集(伊達氏御成敗式目)
■巻之三
騎兵ノ嚆矢(付兵器及軍糧),貞山公豊家二厚シ,貞山公ノ産業的事蹟,貞山公ノ文事的事蹟,貞山公ノ風流
■巻ノ四
貞山公ノ欧南遣使,顛末ノ大要,支倉六右衛門家譜,支倉大膳家譜,貞山公欧南遣使関係文書等,南蛮国書翰案文,支倉六右衛門より、セビーヤ市に贈 りし書,政宗セビーヤ市に贈りし書,支倉六右衛門がイスパニア国王に上りし書,支倉六右衛門より、レルマ公に贈りし書,南蛮国書翰案文,奥州の王伊達政宗 と、新イスパニア総督との間の平和条約,南蛮国書翰案文,千六百十五年十一月三日サン・ピエトロ寺側の法王宮に於て日本奥州の大使がパオロ五世に謁見せし 顛末の記,政宗ノろーま法王二上リシ書翰,ローマ市公民権証書,法王パウロ五世より政宗に贈りし書翰の案文,支倉六右衛門より、ベニスの大統領に呈せし 書,日本の使節より、ベニスの元老院に贈りし書,フライ・ルイス・ソテロより、イスパニア国王に上りし書,イスパニア国王より、政宗に与へし書翰の案文, 支倉六右衛門より、イスパニア国王に上りし書,フライ・ルイス・ソテロ及び支倉六右衛門の覚書,南蛮国書翰案文,支倉六右衛門ノ呂栄ヨリ出シヽ書状,法王 グレゴリヨ十五世より支倉六右衛門に与へし書,法王グレゴリヨ十五世より伊達政宗に贈りし書,ソテロ書簡評論,遣使一件取調ノ沿革,御巡幸ノ記,伊達政宗 欧南遣使考,グリエルモ・ベ節緒論,伊達世巨家譜妙,天正十三年伊国に使した三使節の壁画着す聖徳絵画館に掲ぐる,羅馬法王へ送った藩祖公の信書,戸川安 宅談片,日本ノ教徒ノろーま法王ニ上ル書翰,切支丹不分明者支倉六右衛門死失牒,史界ノ遺珠
■巻之五
仙台城,緒説,総記,城門前ノ大観,本丸,二ノ丸,表,大奥,付載
■巻之六
田村家ト我家トノ関係,寛文事件,肯山公ノ事蹟,士民屋敷ノ制、宇和島ノ伊達家、仙台伊達家ト本末ヲ争フ,忠山公ノ高風,徹山公ノ世、獄二一因ナシ、徹山公殉死ノ輩ヲ追念セラル,中村日向義貞ノ誠忠
■巻之七
世二所謂百万石ノ墨付ヲ井伊掃部頭直孝ガ裂キシト云フハ訛伝ナリ,貞山公仙台ヲ治所トセル,殉死者,貞山公ノ勢威,貞山公御贈位策命,貞山公朝鮮梁山陣中御手写ノ小謡集,貞山公二対スル称謂
■巻之八
藩制時代二於ケル諸公ノ儀衛,御野初 御山追,小姓職制
■巻之九
仙台二於ケル治水,養賢堂,講堂小誌抜抄,養賢堂之謡曲,立教,視学, 林,医学館,瑞巌寺,江戸屋敷,貞山掘,名香柴舟,青柳館文庫
■巻之十
旧封土廣袤(こうぼう)及び禄高,我藩臣ノ階級及び俸禄,藩制時代ノ田,藩制時代ノ法度,仙台藩ニ於ケル製鉄,仙台藩ノ鋳銭及ビ楮幣ノ製造,補遺
■巻之十一
樂山公祖宗ノ霊二厚シ,樂山公ノ仁徳,樂山公教育ニ意ヲ注ガル,塩釜神社奉遷ノ由来,外国トノ交渉起リ樂山公命ヲ下ダサル,樂山公禁裏へ鞍馬三頭ヲ献ゼラル
■巻之十二
戊辰ノ役ト伊達家及ビ仙台藩トノ関係,付載 坂本大炊伝,坂 英力伝,但木土佐伝,若生景祐伝,星恂太郎碑,甲寅春日弔亡大夫坂但木二氏墓有感,奥羽二十五藩ノ誓盟書
■巻之十三
分地配当,役列並支配諸役人列,観瀾亭,修身齋家資料,祖先崇敬二関スル所感,国民性ト祖先崇拝,治家ノ要道,夫婦の嗜味に就て,偶感,其二,温故知新,大森しず女の死を悼む,瑞典人ノ敵愾心二対スル感想
■巻之十四
樂山公ノ晩年,樂山公墓石ノ文字二対スル所感,樂山公ヨリ奉行冨田壹岐二与ヘラレタル教書,養種園,経峯諸廟,授爵ノ恩典及ビ家範ノ制定,家政相 談会ノ設定,振分髪ノ由来,家扶作並清亮編纂家史関係書籍解題,家乗藩史資料,佐野候禽譜編纂ニ就テ,赤穂義士引揚と仙台糒,看古洋書記
■巻之十五
仙台藩ノ産馬,自跋

挿入図表等

□首 巻
江戸汐留上屋敷庭園之図,伊達家系表,伊達氏親族関係発生表,御軍用定,近衛公爵家及伊達伯爵家系統表,自慶長五年至明治元年仙台藩奉行一覧表,仙台藩郡名異同表
□巻之一
伊達氏神殿之図,伊達氏神殿霊璽安置之図,伊達氏家紋,伊達氏親族表,仙台藩一門表
□巻之三
松島旧御船庫之位置
□巻之四
切支丹不分明者支倉六右衛門死失帳ノ模写,使節行程図,スペイン、アウストリア、皇統ノ関係
□巻之五
仙台城之図,残月亭扁額,仙台城本丸ノ瓦,仙台城内榧森御酒屋之図,因縁殿萬善堂之図,仙台城跡内蒙古碑ノ一
□巻之六
田村家略系,宇和島、吉田両伊達家略系
□巻之七
Prince Date Masamune †1636
□巻之九
伊達氏第二十三世徹山公真筆養賢堂扁額,瑞厳寺歴代住職表,石巻(仙台藩内)江戸間送米航路及里程表,青柳館文庫蔵書印之一
□巻之十
自天保十二年至慶応三年仙台藩産米損耗表,明治元年以降米価変動表,南蛮鉄灯籠,仙台藩鋳造ノ貨幣数種,仙台藩発行ノ楮幣升屋手形
□巻之十一
円転図
□巻之十二
戊辰之役幕軍使用之大砲,額兵隊出陣之景,奥羽諸侯一覧表,仙台藩士禄高千石以上姓名表,仙台藩士卒人員表,仙台藩士自一門至着座人員禄高及陪臣員数表
□巻之十三
観瀾亭図
□巻之十四
樂山公御隠居後之御住邸略図,養種園実測図,瑞鳳殿平面図,瑞鳳殿扁額,瑞鳳殿本堂花頭窓,貞山公廟献灯配列之図,感仙殿善應殿平面図,貞山公殉死者墓碑,瑞鳳殿境内満海上人供養碑,善應殿御廟側思敬庵開基供養碑
□巻之十五
北米合衆国産ノ馬(Jim Key.),右解説,仙台馬市,駅馬符ノ印三顆
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「奥州名所図会巻之五」、「金華山紀行」、「奥州仙台領遠見記」、「奥州里諺集」の四編で見る奥州『仙台領の地誌』

いにしえの昔からの人々が抱き続けている、未知への憧れ。旅行記を読むだけでは満足できずに、実際にその場に立ちたい人々が増えて、観光やグルメに関する情報が身の周りにあふれています。
「奥州名所図会巻之五」「金華山紀行」「奥州仙台領遠見記」「奥州里諺集」の四編は、それぞれに先人達が巡った名所旧跡を明らかにして、古きをたずねな がら、その中に新しさを求めてみたいという望みのもとに翻刻しました。翻刻に関しては、原本のもつ風情を大切にしながら、読み易い工夫を心がけました。
「奥州名所図会巻之五」「金華山紀行」は、貴重な原本と同時に初翻刻本です。また、「奥州仙台領遠見記」「奥州里諺集」は、資料として活用できます。い ずれの篇も奥州仙台領の名所・名産が余すことなく記載されており、それらの中の多くは現在に受け継がれてきていることに、本書を手にした読者は気付くことでしょう。
仙台に生まれた人、又は住むようになった人は勿論のこと、遠来の人を迎えたり、“町おこし”事業の一役を担う地誌として、皆様へ自信を持ってお薦めします。

『仙台領の地誌』構成

[ 奥州名所図会巻之五 ]
「奥州名所図会」は、当初六冊あったものが、その後二冊が紛失しました。今回翻刻した「奥州名所図会」は、紛失した二冊のうちの「宮城郡五」で、 宮城郡高木宿から桃生郡・牡鹿郡までで、金華山で終筆しています。「奥州名所図会」は、仙台から塩竃・松島・名取周辺の風土記や「東鑑」・「奥羽観蹟聞老 志」そのほか多くの著書を引用し、故事を正しながら記述したものです。(原本所蔵は仙台市民図書館)
[ 金華山紀行 ]
「金華山紀行」は、朱桃・里水(阿子島氏)・帰山(結城氏)の三人が誘い合って、金華山に参詣したときの紀行文です。一行は仙台を正徳五年(一七 一五)三月二十四日に出立し、塩竃・松島・金華山・気仙・平泉を経て四月七日に仙台に帰着しています。なお、今回翻刻した「金華山紀行」は「岡氏蔵書」の 印のある書写本で、使用した用紙には「塩松勝譜」「水哉棲蔵」が記されています。(原本所蔵は仙台市民図書館)
[ 奥州仙台領遠見記 ]
「奥州仙台領遠見記」は、宝歴十一年(一七六一)に公にされました。長年に渡り領内の巡行に加わり、仙台藩の相馬領境三、伊達領境五、出羽・最上 領境十、南部境領九ヶ所の計二七ヶ所の「境目番所」が記載されていますが、番所の位置や勤務する者の身分や役割にとどまらず、名所や名産、周辺などが記さ れている臨場感ふれる地誌です。(原本所蔵は宮城県図書館)
[ 奥州里諺集 ]
宝暦十年の著作、「奥州里諺集」(五巻)の中で「世にいまだもてはやされざる所の神仏奇怪珍産の類」とあり、「奥羽観蹟聞老志」や「風内風土記」などの官選地誌とはひと味違った内容となっています。(原本所蔵は宮城県図書館)
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