経済的側面から中小企業動向を注視せよ

第一生命経済研究所レポート「中小企業アイ」 2004年12月号掲載

見えにくいから見なくていい?

中小企業の動向は、統計が整備されていないこともあり、体系的に分析されることは少ない。日銀短観や法人企業統計季報などで中小企業分を集計してはいるが、サンプリングの問題や回答精度の問題もあり、定点観測を継続的に行うことは非常に困難である。
それに対し、経済動向を分析する上で速報性があり詳細なデータは、大企業の生産や出荷動向を集計したものであることが多い。当然、分析する側は信頼性が高く使いやすいデータを用いることになる。結果的に、経済分析には大企業中心のデータが主に使用されていることになる。
また、中小企業問題を議論するうえで混乱を与えやすい点として、政治問題と議論が混同されるケースが挙げられる。数値的な裏づけがないまま、定性的な議論が繰り返されることで、中小企業の保護や支援の方向に議論が収斂する傾向があるようだ。定量的な分析を中心に行われる経済分析にとって、政治問題との混同は最も避けなければならない点でもあり、経済予測にとって、中小企業動向について明示的な議論を行うことは困難な面もある。
かつては、大企業の景気のベクトル(方向性と大きさ)と中小企業のベクトルが大きく異なることは少なかったため、規模別の議論を行う必然性も現在ほど高くなかったかもしれない。しかし、現在の景気動向においては、大企業と中小企業の回復の格差が大きな問題のひとつと数えられている。
中小企業の生産面でのマクロ的状況は、極めてつかみにくい。しかし、今までにも増してきちんと把握しなければいけない問題である。

マクロの本質は内需の動向

米国のクリスマス商戦の動向や中国経済の先行きは、輸出企業の生産と波及を通して国内経済に大きな影響を与える。限界的な方向性を分析する上では非常に重要なトピックスであることは間違いない。しかし、米国のクリスマス商戦の良し悪しの影響を受ける企業と、そうでない企業はどちらが多いだろうか。そこに、勤めている従業員の数は内需型企業の雇用者とどちらが多いだろうか。
外需の動向は、より大きなうねりである内需の動向が一定の方向に、一定の大きさで作用しているときには、より大きなインパクトを与えるであろう。しかし、内需の動きに何かしらの異変があるのであれば、その力は外需の動きをいとも簡単に凌駕してしまうのである。内需の動向を注視することを軽視して、より限界的な海外動向に目を奪われると、流れを読み誤ることにもなりかねない。
マクロ経済の本質は、生産面、分配面、需要面にそれぞれ現れるはずである。生産面が見えにくいのであれば、その他の面から類推することも可能である。見えにくいところにこそ、本来の姿があるかもしれない。