中小企業は景気後退の準備を

第一生命経済研究所レポート「中小企業アイ」 2005年3月号掲載

各種景況調査は景気後退を示唆

中小企業の景況感を示す各種の調査は、景気の後退を示している。商工中金が発表した1月の月次景況観測によると、景況判断指数は47.3となり、6ヶ月連続で50を下回り、また4ヶ月連続で悪化を示した。先行きは若干の回復を予想してはいるものの、秋口以降の予測指数は、実績よりも高いケースがほとんどで、期待はずれの状態が続いている。景気後退初期に、予測指数がその後発表される実績よりも高めに出てしまうのは、この種の調査ではよく見られる現象である。言葉を変えると「まだ淡い期待を持ちつつの希望的観測」が予測指数に高めのバイアスをかけている可能性が高い。これまで、おおむね改善傾向を示していた生産設備や雇用状況の過剰感が高まっていることからも、中小企業を取り巻く環境は、景気後退に入っていると見ることができる。
なにも、商工中金の調査結果だけが特別なのではない。中小企業金融公庫が発表した2004年10-12月の業況判断DIも4-6月をピークに2四半期連続で悪化しており、4四半期ぶりにマイナスに転落している。この調査で、興味深いのは、北海道、東北、四国、九州の順に悪く、近畿、東海、中国、関東の順に良いという結果がはっきり出ていることである。また、企業調査の観点から定評のある(株)帝国データバンクが発表した景気動向調査によれば、昨年7月をピークに6ヶ月連続で景気DIは悪化しており、景気後退の可能性を示唆している。この調査は、中小企業だけでなく、大企業も調査対象に含まれるが、中小企業の割合が約75%と高いのが特徴である。
日経225種に採用されている会社を中心に景気を議論するのであれば別だが、少なくとも中小企業においては景気後退が始まっており、マクロ経済全体の議論でも、景気後退の可能性が高まっていると見ることができる。

うねりは急に止まらない

これらの調査に共通するのは、昨年秋口以降、景況感が悪化していることであり、これは数量ベースの指標である生産指数が鈍化した時期と合致する。数量ベースの拡大がある程度見込める状況では、多少の価格下落圧力も乗り越えて売上確保に結び付けてきたものの、この状況での数量ベースの鈍化は売上減に直接作用する。最終財段階でのデフレ傾向は、基本的に継続しており、一方で仕入れ価格の上昇はボディーブローのように会社の体力を蝕んでいく。
景気の波を形作るのは、累積的な効果であり、地味であっても継続している事象はうねりになりかねない。その時その時の現象は些細であっても、継続して起こることには注意が必要であろう。取引上の力関係等から、取引条件の見直しにおいては、中小企業にしわ寄せがくるケースが少なくないようである。中小企業における交易条件の悪化がうねりになれば、全体の景気に与える影響も軽視できないかもしれない。
景気の先行きに対しては、大企業を中心に楽観的な見方が支配的なようだが、少なくとも中小企業の関係者は、もう一段の悪化に備えて打つべき手を考えておいたほうがよさそうである。