外需頼みの脆弱性が露呈

第一生命経済研究所レポート「中小企業アイ」 2005年6月号掲載

サプライズか帰結か

新年度入りしてから発表される指標が総じて冴えない。3月調査の日銀短観における業況判断DIは、好調とされる大企業製造業でさえ12月調査と比べ▲8ポイントの悪化と、多くの予想を下回る結果となった。生産指数や景気動向指数も踊り場を早期に脱する結果とはなっておらず、景気の足取りは、思いのほかもたついている印象を受ける。日経平均株価も12000円近傍から力なく11000円を割り込む状況だ。2005年の前半に踊り場を脱し、回復軌道に乗るという楽観的なシナリオには早くも黄色信号がともる形になっている。このシナリオの前提として、堅調な外需に引っ張られる形でハイテク部門が再加速することを期待していたからだ。
株価の下落やいくつかの弱い数字の背景には、いくつかの特殊要因が指摘されるが、多くの特殊要因は海外要因であり、うらを返せば改めて内需の脆弱性が確認された形だ。もちろん、全体の景気動向としては、大企業を中心に収益が高水準なことから、このセクターを中心に設備投資にはまだ望みがあり、景気後退まで至るリスクは限定的かもしれない。しかし、内需の動向を中小企業の景況感を軸に読み取ると、日銀短観の中小企業非製造業の景況感や中小企業金融公庫の業況判断を見てもわかるように回復とは言いがたい状況である。セクター間での格差が広がっている現実を思い起こしてみる必要がある。
全体として景気の踊り場が認識されるなか、中小企業を取り囲む状況は、より悪く、景気後退時とさして変わらない状況になっていると考えられる。内需の趨勢を決める大きな流れが好転しなければ、一部のセクターが多少回復しても、力強い回復にはならない。景気の足取りが思いのほか重たいのは、内需の脆弱性に着目すれば、サプライズというよりは当然の帰結と言えるかもしれない。

中小企業を意識した内需拡大を

なぜ、内需の動向と中小企業動向をリンクさせて考えるか、第一に中小企業に従事する労働者の割合が6割とも7割とも言われているように、この層の行動が消費に大きな影響を及ぼすと考えられるからである。第二に、地域経済の経済波及を考えたときに、地元の中小企業を抜きに正の連鎖は考えられないからである。つまり、地元の中小企業の業績が好転しないことには、雇用面、購買面での地域の好循環は難しい。第三に、経済のサービス化が進み、非製造業の割合が増加する中で、サービスの提供者としての中小企業の役割が重要になってきている面が挙げられる。多くの場合、サービスの提供は、外需ではなく内需としてカウントされる。
これまでは、大企業製造業がよくなれば、その影響で中小非製造業までおおむね良くなっていくというパターンの回復がほとんどであった。今回は違う。政策として、これまでと違う成長経路を選択しているわけなので、競争の結果を見届ける必要はあるかもしれない。しかし、地域経済の疲弊もまた厳然たる事実であり、これを放置することは、将来的な経済発展を考えたとき得策であるとは考えにくい。中小企業育成を補助とか救済といった観点だけではなく、地域経済の活性化のために必要な方策として考えてみると答えが見えてくるかもしれない。