中小企業、次の局面は?

第一生命経済研究所レポート「中小企業アイ」 2005年8月号掲載

中小の景況感悪化にも歯止め

日本銀行が発表した6月短観によれば、中小企業の景況感は、▲7と3月に比べ2ポイントほど回復した。また、商工中金が発表した6月の月次景況観測も48.4と前月に比べ0.5ポイントの改善となった。2004年の秋口以降、中小企業の景況感は、ほぼ一貫して悪化をたどる厳しい状況が続いてきたが、ここにきて一定の歯止めがかかってきた形だ。
ただし、一定の歯止めがかかったからといって、決して楽観はできない。先行きは、一本調子の回復を予想しているわけではなく、また原油高に端を発する交易条件の悪化は、確実に中小企業の収益にダメージを与える。景況感の水準そのものも依然低い状態だ。短観において水準を見てみると、製造業がかろうじて好不況の分岐点を上回るプラス2ポイントであり、大企業製造業の18ポイントとは16ポイントの隔たりがある。非製造業に至っては、中小非製造業▲12ポイントと大企業非製造業の15ポイント27ポイントの差である。大企業と中小企業の温度差を明確に表している結果と言える。
中小企業と大企業の景況感の格差は、おおむねいつの時代でも見られる現象ではあるが、特に近年顕著に見られる現象である。内需主導の景気回復が持続した場合には、広く経済の端々まで回復の恩恵が行き渡るが、一部のセクターに偏った回復の場合、内需全体に波及しなければ盛り上がりに欠ける回復で終わる。例えば、海外の需要増大に引っ張られた回復の場合は、輸出主導の回復により方向性は景気回復の方向性を示しはするが、すそ野の広い内需に点火しなければ、力強い回復にはなり得ない。今回見られた景気全体のもたつきは、まさにこのようなことが当てはまる例といえる。

広がった格差は縮まるか

ともあれ、これまで調整局面にあった中小企業も、やっと世間並みに「踊り場」程度になってきたと見ることもでき、次の回復局面にむけての準備も必要になってきている。問題は、大企業との認識の格差をどう縮めていくかである。
今回の回復局面で大企業が取り組んできたことは、過剰な生産力の調整であり、今ではそれが一巡して採用の増勢、積極的な設備投資と生産力増強の動きに転じる兆しが見え始めてきた。
中小企業が、一周遅れででも適正な調整を行えているのであれば、収益力の回復に結びつき、いずれ回復軌道に乗ることも可能であろう。おそらく、この間多くの中小企業も、ただ手をこまねいていただけではなく、次の回復局面をにらんで、着々と次の手を打ってきているはずである。中小企業であるだけでだめだということは、まったくありえないことで、それぞれの特色を生かした次の展開は、企業家である以上、必ず行われる。
全体の景気が踊り場を脱出した後、力強い回復を見せるか否かの分かれ目は、広くあらゆるセクターに回復が波及するかどうかであり、具体的には中小企業非製造業がどのような推移を見せるかである。大企業との格差をどのように縮めていくかに注視することで本格回復になりうるかを見極めていきたい。