シリーズ 中小企業にできること・地域編(1)

第一生命経済研究所レポート「中小企業アイ」 2007年1月号掲載

疲弊の必然

地域経済が疲弊している。大都市圏の都市を除けば、ほとんどすべての街で、中心市街地の再活性化が叫ばれている。シャッター通りと揶揄される商店街は、いまや地方都市のいたるところで見られるようになった。
マクロ経済を見れば、いざなぎ越えの好景気かもしれないが、近隣に輸出関連の工場を持たない地方都市で、好景気を享受できているところは少ない。格差の問題は、様々な議論があるようであるが、地域間格差は、議論の余地なく広がっている。景気の遅行指数ではあるが、肌感覚に最も近い雇用・所得関連の指標を見れば明らかである。有効求人倍率が1.5倍の東京から0.4倍そこそこの青森や高知の実態は、なかなか見えてこないだろう。数字で議論する前に実際に足を運んで街の活気(のなさ)を感じてみるとわかりやすいだろう。
地域間の格差が広がり、地方の中心市街地が疲弊した要因はいくつか考えられる。政策的にどうであったかは、他の分析に任せるとして、事実として地方経済が疲弊し、大都市圏との格差が広がっていることを確認しておこう。
そこで、地域活性化策である。「街づくり」という言葉もよく使われる。疲弊しているから、必然的に活性化させなければならない。しかし、やり方を間違えると、とんでもない結果が待ち受けている。

地域企業の発展=活性化

夕張市のめろん城を持ち出すまでもなく、全国にハコモノ主導の街づくりの例は、枚挙に暇がない。ハコモノ開発とは、国などがシンボル的な建物を建てて、その運営を第三セクターなどが行い、そこを中心に街づくりを行おうとするものである。そのすべてが悪いと言うつもりはないが、多くの場合、建物が建ったことで満足したのか、波及効果が予想を下回り、三セク自体の運営も苦戦を強いられるケースが多いようだ。
地域活性化のためにはハード的な投資は、あるにこしたことはない。建設投資で地域が潤う分も無視できないからだ。問題は、身の程にあわない過大な投資が自治体の財政を大きく圧迫し、身動きが取れなくなることだ。街づくりのためにやったことが、町をつぶしかねない。
波及効果を最大限に引き出すために最も重要なのは、地域企業との連動である。ハードも大事かもしれないがもっと大事なのは、仕組みづくりや意識の共有といったソフト面の取り組みである。言い古されているようだが、なかなか実現できていない。行政主導では無理な部分もあるかもしれない。
つまり、公共的な施設単体での街づくりには、限界があり、地域企業の発展が伴わないと街づくりは成功しないということである。地域の企業がやったこともないことをポンと持ってきて、さあ一緒にやりましょうと言われても難しい。
逆の面から見ると、街づくりに対する地域企業の責任は重く、地域企業が能動的に動けば街づくりも成功する可能性が高い。地域の企業の発展なくして地域経済の発展はありえない。
街づくりに関して、今まで以上に地域の企業を巻き込んだ議論が望まれるし、地域企業もその責任を自覚すべきである。
万能の活性化モデルなど存在しない。なぜなら、その地域の本当の良さは、その地域にしかないものなのだから。