シリーズ 中小企業にできること・経営計画編(2)

第一生命経済研究所レポート「中小企業アイ」 2007年4月号掲載

指針なき計画策定の困難さ

前号で経営計画には、戦略的な考え方と社員で共有できるビジョンが必要である点を述べた。繰り返しになるが、戦略的な経営とは、市場の変化を感じ取り、創造的な方法をもってその変化に対応することである。
当たり前のことを言っているのだが、一方で中小企業の計画において、明確に意識されているケースは少ない。市場の変化を漠然とは感じられても、具体的な分析まで及ばないことが多く、もっと困難な、変化への対応については手を打てないでいることも多い。
また、創造的な方法というものを難しく考えすぎていて、新技術、新商品、新開発、など中小企業では無理だとあきらめてしまうことも多い。実は、創造的な仕事とは、日々の絶え間ない創意工夫から生まれてくることを忘れてしまっている。
一般論としての「戦略の重要性」や「ビジョンの共有」については、頭では理解していても、等身大での運用や自分たちでの展開となるとなかなかうまくいかないことが多いようだ。
ハウツー的な経営計画策定の手引書から、骨なる本格的な経営学の書籍まで、本屋に行けば経営計画に関するものは数多い。自分の会社に合った考え方にめぐり合えればいいのであるが、なかなか、そうもいかないことも多い。軸となる指針がない中で、闇雲に計画を作っても効果的な運用は期待できない。
そこで、考え方のひとつとして、紹介したいのが経営品質の考え方である。第一生命も2001年度の日本経営品質賞を受賞しているので、知っている読者もいると思うが、筆者が知る限り本質的な戦略策定に関して、最も体系的に整理された考え方である。経営品質賞に応募するかどうかはともかく、基本的な考え方を知ることでひとつの軸を構築することができる。

経営品質の考え方

私自身も一経営者として、卓越した経営を目指したいと考えているが、そのために経営品質向上のプログラムは、様々なヒントを与えてくれる。
まず、経営品質向上のプログラムで前提としているのが、自分達で考えることである。セルフ・アセスメントという言葉を用いているが、これは組織の一人ひとりが当事者になることを想定している。
また、一定の基準は示されているが、あくまでも、画一的な手法を求めるのではなく、自分達なりの経営革新の道筋を求める。そうでなければ社員全員で共有することは難しいからである。
経営品質協議会のホームページや各種刊行物、もちろん第一生命のホームページを参考にすれば、詳しく説明されているが、重要な点を最後にまとめておく。
経営品質では、4つの基本理念を示している。
*顧客本位  *独自能力  *社員重視  *社会との調和である。
当然のことばかりなのであるが、自分達なりに、これらをどこまで掘り下げることができるかが、ポイントとなってくる。また、これらの理念を軸に、7つの重視する考え方として (1)顧客から見たクオリティ (2)リーダーシップ (3)プロセス (4)対話による「知」の創造 (5)スピード (6)パートナーシップ (7)フェアネスを挙げている。
興味を持った方は、経営品質向上プログラムに取り組んでみてはいかがだろう。