シリーズ 中小企業にできること・活性化編(1)

第一生命経済研究所レポート「中小企業アイ」 2007年7月号掲載

中小企業施策再考

中小企業のための施策と聞いて皆さんはどのようなイメージを持たれるだろうか。
私が周りの人たちに聞いてみたところ、多くの人がセーフティー・ネット型のイメージを持っているようであった。つまり、弱い者への手助けという意味合いでの、補助金や優遇制度といった保護策を思いつく方が多かった。また、その中の何人かは、だめなものに手を貸しても無駄で、本人たちのためにもならない、という意見を添えられた。中には農業政策とダブらせて語る方もいた。
しかし、本当に中小企業のために必要な施策が前述のようなものかといえばそうではない。また、実際には俗にバラマキ型といわれる中小企業への補助金などほとんどないのが実情である。むしろ、異業種連携による新事業へのチャレンジを支援する中小企業新事業活動促進法のような、伸びている、あるいは伸びようと努力している会社への施策が主流になっているのである。

革新に取り組む中小企業

一般的な中小企業に対する理解としては、大企業に従属的な立場であり生産性が低く、発展性が乏しい、というものである。実際に各種の統計からも、大企業と比べた場合の業況の悪さや、利益率の低さなどはすぐに調べることができる。けれども、中小企業を一般化する場合と個別の中小企業を見ていった場合には様子が異なることにも気をつけなければならない。個別の企業を見ていくと、革新性に満ちた会社、独自の技術をスピーディーに展開している会社、ニッチな市場で圧倒的なシェアを誇り他の追随を許さない企業など、面白い企業はたくさんある。特に世間をアッと言わせるほどの新技術や革新でないにせよ、常に革新に取り組んでいる企業は多い。むしろ、何もユニークな取り組みをしていない会社を探すほうが大変だという見方すらできる。
大きかろうが小さかろうが、一つの会社としての存在意義があり、顧客から支持されているからこそ存続もしているわけである。

求められる中小企業施策のあり方

それでは、多様な革新にチャレンジしている中小企業が多いにも関わらず、マクロ統計で見た中小企業は、なぜ、一見見劣りするのだろうか。
それは、中小企業ゆえのリスクに他ならない。一言でいえば、新たな取組みや革新といったものは、成功するとは限らないからである。ユニークな取り組みが今日や明日の飯のタネになるとは限らない。たまたま、有効な新技術が開発されたとしても、タイミング悪く、大手が同様な開発を同時期にすれば勝ち目はない。
そもそも、体力的な点から、アイディアがいくら良くても、実用上のビジネスベースに乗せるまでの資源投入には限界がある。時間的な制約、人的な制約、販路開拓、マーケティングなど問題は多い。中小企業への施策は、まさにこの点を補うべきだろう。
革新、チャレンジ、多様化といったものは、中小企業に限らず、長期的な経済の成長には不可欠である。中小企業の活性化のための施策を行うとすれば、間違いなく革新を促す分野に対して実施すべきだ。それを見極めることは難しいが、これからの日本で生産性を底上げするにあたり、見逃せないポイントである。