世界同時不況のリスクのなかで

「仙台経済界」2001年11-12月号掲載

 ただでさえ世界的に景気が悪いなかで、米国同時多発テロが起き、その報復攻撃から戦争状態へ突入している。大手電機メーカーの大規模なリストラ計画が発表されるなど、これまで唯一好調を持続していたIT(情報通信技術)産業にも陰りが見られる なかでの大惨事である。米国のダウ平均株価は、1万ドルを割り込み、日経平均も1万円を割り込むなど、まさに世界同時不況の様相を呈している。このような状況下、悲観的な材料には事欠かない。消費者マインドは冷え込み、財政は緊縮、設備投資意欲も非常に弱い状況である。
 しかし、目の前に全く明るい兆しすら見あたらないといって、何もしないわけにはい かない。景気が悪いというのは、現象面であって、誰も到達目標として不景気を目指しているわけではない。不景気の裏側には各企業、各経営者の不断の努力が隠されている。この競争に生き残ったものだけが、次の好景気を味わえるのである。

IT後進地域の汚名返上を目指そう

 さて、地元経済界としてはどのような対応が必要であろうか?IT不況といっても、その実態は、米国の需要が減退したため、大手メーカーを中心に在庫調整を余儀なくされているというのが現実のようだ。もちろんその余波でIT企業としてもてはやされた企業も苦戦を強いられている。一方、多くの地元企業にとっては、米国発のIT不況の影響は軽微なものにとどまる可能性が高い。しかし、そのことを喜んでばかりはいられない。むしろ、IT景気の波に乗れなかったことを改めて考えるべきであろう。IT不況の影響が少ないということは、IT化の波に乗り遅れている可能性が否定できないからである。宮城県は、インターネットの普及やパソコン利用の各種指標 において、かなり不名誉な数字を記録している。日本国内におけるIT後進地域に位置づけられている現実をもう一度見直すべきであろう。
 IT後進地域だったためにIT不況に見舞われずに良かったと考えるのか、周りがひと休みしてくれたのを、キャッチアップの好機と位置づけるかである。ITバブルが崩壊したからといって、IT自体を否定する事は非常に危険である。大きな山からは転がり落ちたかもしれないが、間違いなく3年前よりは進歩している現実を見るべきである。
 このような時期だからこそ、情報の効率的な利用を可能とするツールやしくみの研究がますます必要となってきているのではなかろうか。