地域経済回復の糸口は

「仙台経済界」2002年1-2月号掲載

 新しい世紀は、米百俵/聖域なき改革/恐れず怯まず捉われず/骨太の方針/ワイドショー内閣/改革の「痛み」で始まった。2001年の流行語大賞を受賞したのは、小泉首相その人だった。史上最多の流行語だそうである。振り返れば、以前のこのコラムの中でもいくつかの言葉を使わせていただいているわけで、確かに世相を反映している言葉だなと感心してしまう。
 それにしても、何か重苦しさを感じる言葉が並んでいる。この1年を通じて景気が悪化するなかで発せられた言葉なので無理もないが、前の年の流行語大賞が「IT革命」と「おっはー」だったことを思い出すとなおさら重苦しさが際だつ。なにか追いつめられた感がある。景気対策、不良債権処理の行き詰まり、戦後体制の行き詰まりを象徴しているのかもしれない。
 また、別の角度からこれらの言葉を見ると決意表明語録と言えるかもしれない。意気込みはとても感じるが、いまのところ成果に結びついてはいない。「抵抗勢力」による巻き返しもあり、総論賛成、各論反対のムードが高まっている。
 今年は、果たしてどんな言葉が流行るだろうか?改革に伴い「痛み」が吹き出してくれば「挫折」を皮肉る言葉も出てこようが、できれば改革の道筋に一本の光が見えるような、将来に希望がもてる言葉が並ぶことを期待したい。

二極化ではなく多極化の段階に

 仙台で商売をしている我々にしても、昨年は何か重苦しさを感じずにはいられない1年だった。それぞれのお店で聖域なき改革をする上での、「痛み」が見えてきたからかもしれない。しかし、中央で進展する総論賛成、各論反対のムードの広まりだけは、ご遠慮させていただきたい。個々の店や会社にとっての改革は、どうしても実行に移し、成果を出していかなければならないのだ。地域経済の立ち直りにおいては、総論を議論すること自体が無意味なのかもしれない。個々の企業努力が今ほど試されているときはないからだ。各論をしっかりと固めた上でのボトムアップの議論が必要とされている。
 勝ち組-負け組で表現される単純な二極化の構図は、不景気の構図そのものである。そうではなく、多様なフィールドのなかでの、それぞれの取り組みが評価される多極化の段階を目指すことが求められている。それぞれの取り組みとは、自分の強みを生かした取り組みである。一様ではない。多極化の構図が見えれば、地域経済の立ち直りが見えたも同然である。
 中央の政治が重苦しさを引きずっているのを尻目に、地域経済が回復の糸口を見いだす可能性は、以外に高いかもしれない。