強気相場は・・・

「仙台経済界」2002年3-4月号掲載

「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、幸福のうちに消えて行く」

 相場心理を的確に言い得た有名な格言である。しかし、この格言が言わんとしているところを実践できている投資家は少ないかもしれない。つまり、世の中が悲観一色に染まっているときに、株価は、底に近いところにある。辺りの悲観ムードからは、とても株を買えるような状況にはなく、まだまだ下がるのではないかという疑心暗鬼が渦巻いている。しかし、底を打たない相場はあり得ないわけで、いずれ上昇し始める。このタイミングで買うことができたら、まさに底値買いができたことになる。ただし、徐々に上昇し始めるものの、本当に底を打ったかどうかなど誰にもわかるわけがなく、安心して買い進んでいけるものではない。場合によっては、二番底を覚悟しなくてはならない。本当に底をつけたかどうか、誰もが疑う。この懐疑のなかで相場は育つというのだ。逆に、誰しもが底をつけたと考える頃には、相場は成熟期に入っており、上昇余地は限られる。それでも多くの投資家が安心して市場に入ってくる。そして、最後に市場に入ってきた人ですら、含み益が出ている幸福な状況が、相場の天井だというのだ。

ビジネスチャンスも相場の沙汰

 株式相場を例に話したが、何もこの格言は、株式相場や商品相場に限ったものではない。多くのビジネスシーンでこの格言は生きてくる。例えば、新しい店舗の展開にしてもそうだ。ライバル他社が新店舗展開に二の足を踏んでいるときこそ、チャンスである。みんながやらないときに、やるからこそ効果が出るのであって、追随してばかりでは、勝てるわけがない。優秀な人材の確保にしても、労働市場が緩んでいるときの方が良い。機械設備の導入にしてもそうだ。価格が安く、金利が安い時に最新鋭の機械を導入すれば、先行者利得は大きい。付和雷同的に投資を控え、リストラに励む姿は、相場の天井で高値をつかみ、相場の底で懸命に売りまくっているようなものだ。最後に、実際に投資をされる方に「天井三日、底三年」という格言を一言。相場のピークは、あっという間で、逆に相場の底は、だらだらと続くことが多いという経験則である。買いは急ぐな、売りを急げという意味合いであり、なおかつ、買いよりも売りの方が難しいという意味合いも含んでいる。いずれにしても相場には魔物が潜んでいるとも言われ、儲けることは非常に難しいようである。
 くれぐれも、投資の最終的なご判断は、ご自身の責任において行われるようお願いいたします。