雑草の芽と文化

「仙台経済界」2000年7-8月号掲載

 近頃、残念だと感じたことがある。「ストリート・ミュージシャン諸君・・・」の横断幕である。確かに、なかには聞くに堪えない騒音そのものを発している連中もいるので、横断幕の意図も分からなくはない。しかし・・・。
 ストリート・ミュージシャンは、全国的にブームらしい。そして今回の火付け役とも言えるアーティストが仙台にゆかりの人物なのである。本来であれば、商店街も全国的なブームの震源地として大々的に打ち出せば良いような気がするのだが、かの横断幕は、まるで足を引っ張っているかのようだ。そのことが残念でたまらない。
 実は、仙台ゆかりのミュージシャンとは、坂本サトル氏のことであり、彼は大学時代の友人でもある。そのため、ややストリート・ミュージシャンに対しひいき目になっているかもしれない。とはいえ、仙台を中心に路上ライブで魂を伝え、その思いが伝わり自主制作CDとしては異例のヒットを記録し、全国的なヒットにもつながった。そのことは客観的に見ても評価に値することだと思う。
 彼のアイディアは、仙台発の文化発信の要素を十分に満たしていたのだと思う。しかしながら、地元の冷淡な反応。なるほど、このような土壌のもとでは文化は育たないのではないかと悲しくすらなってくる。雑草のようにその地に芽生えたものを育て上げる。そのことが、立派な「文化」になりうることを認識すべきではなかろうか。逆に、最初から立派な「文化」って、ちょっと窮屈な気がするのは気のせいだろうか。
 「地域の文化発信」といっても、なにが当たるかなど誰にもわからない。わからないから「かたち」から入って各方面からの先生方の意見をありがたく拝聴する。そして可もなく不可もなく仕上げる。しかし、温室栽培の文化はその地に根付かない。なにか白々しさが残るような気がする。地域の活性化や文化の発信などというものは、何かお手本があってその通りにやれば成功するというものではないのだろう。
 人口動態上仙台市は、政令指定都市のなかで、もっとも若者人口の比率が高い都市ある。仙台のアイデンティティを考える上でこの点は重要である。なにか、雑草の芽を見つけたら、商店街としても積極的に後押しして盛り上げることで、文化として定着することもあるのではなかろうか。