もういいはもうだめ

「仙台経済界」2001年7-8月号掲載

本格的な競争社会へ

 変革の時代である。小泉新内閣は、驚異的な支持率を記録し、「変革する人=変人」が多くの人々の期待を背負っている。メールマガジンの新しい試みも、多くの国民に受け入れられたようだ。行財政改革が声高に叫ばれるなか、外務省に殴り込みをかけた田中真紀子外相も連日のように新聞やテレビをにぎわしている。言動や、やり 方はともかく、外務省自体を改革しなくてはならないという点に関しては、共感を覚える人が多いのではなかろうか。政治の世界では、「変革」がキーワードのようだ。どうやら「変わる」ということを言わなければ商売にならないらしい。
 また、ビジネスの世界でも、これまでのカテゴリーを越えた新しい発想が消費者に受けている。今年の長者番付を見ても、楽天の社長やソフト・バンクの社長をはじめとするIT勢に加え、ファースト・リテイリング(ユニクロ)の社長が上位にランクインするなど、一昔前とは様変わりのランキングである。そういう意味では、間違いなく変革の時代であり、そのことに意義を唱える人は、少ないであろう。

今、変革が叫ばれるわけ

 しかし、逆に、変革を必要としない時代などあるのだろうか?仮に変革を必要としない時代があったとして、その後の時代はどうなってしまうのだろうか?
 おそらく、戦後の日本は、変革の連続だったに違いない。だからこそ、奇跡とも言える高度経済成長が可能だったわけだ。失われた90年代の悲劇は、何故起こったか?多くの人が、社会が、変わらないことを望んだのではなかろうか。80年代後半にいい思いをした記憶は、多くの人の脳裏に焼き付いているに違いない。
 現在、これだけ「変革」が叫ばれるのは、これまで「変革を必要としない」と勘違いしていたことの裏返しとも言える。
 地元仙台も例外ではない。ユニクロや100円ショップで買い物をしたことがある方も多いだろう。休日には、郊外の大型店周辺の道路は、大変な渋滞である。変化が起きているところに人は集まる。一方で、地元商店の中には、「この辺でもういいや」と感じてしまっているところは無いだろうか?
 街も企業も個人も、「もういい」と思った瞬間に、「もうだめ」になってしまう。まだまだだめと思っているうちは、まだいけるのである。